【Super Butter Dog-4】外出中(1) [音楽]
(この記事は、1/15「ハナレグミ“LOVE GUITAR” @SHIBUYA-AX」の続きです)
今回とりあげる作品は「外出中」。このビデオは天気に恵まれたということにつきる。2日間での撮影なのだが、その中に秋晴れから嵐の前までの天気が盛り込まれている。
立川で1日目の午前中に、車(「男と女」でおなじみの、60年代のフォード・ムスタング・コンバーチブル、赤。)のシーンを撮影。その時は気持ちのよい秋晴れである。午後、当時立川にあった「スタジオ食堂」の敷地内で撮影。その時も、気持ちのよい秋の日。夕方にかけて若干曇った記憶がある。その日の夜、再度車のシーンを撮り、その足で浜松の砂丘に向かい深夜着。ほとんど寝る間もなく、夜明けの砂丘で撮影。このときは刻一刻と台風が迫って来るという状況で、波の感じなど理想的だった。
撮影後の昼から雨が振り出し、翌日から台風である。これが台風にあたって撮影延期だったとしたら、車のレンタル代、ホテル代、道路の撮影許可…などなど全部負担となってのしかかってきたハズで、晴れていなかったらせっかくのムスタングのオープンカーも…。運が良いことはとても大切なことだ。
プロットはまあジャームッシュの「デッドマン」のようだと言えなくもない。トモヒコがNOBODYの役柄である。このビデオを見るたびに思い出すのは、ラスト近辺に永積くんが浜辺でタバコを吸うカットがあるのだが、本当はドーナツを食べるハズだったといことだ。何故そうならなかったのかは思い出せないのだが、1. ドーナツを忘れてしまった。2. 突然気が変わった。のどちらかだ。その部分を想像で入れ替えてみてほしい。1. ドーナツを食べて花火を上げる(ベタな感じ)、 2. タバコを吸って花火を上げる…。まあ、できたものはできたものなのである。
さて、メインのロケは立川の「スタジオ食堂」で行ったのだが、これはそのころ知り合ったドイツ人アーティストFelix Baltzer(→参考作品)の作品がそこに保管されていて、それを背景に使おうか?というアイデアから決めた。が、肝心の作品はほとんど映っていない…。で、これがどういう作品なのかというと、解説では地中に巣を作るマウスの巣の形を模し、それをダンボールで作り上げたというもの。展覧会に行ったところ2〜3メートル四方の氷山の全体像のような形をしたものが、会場に並べられており非常に不思議な感覚を覚えた。彼とはユングの話をした。地下または水中に沈んでいた広大な無意識の領域を全部みせることで、見に来た人間が無意識の領域に立ち入っているような感覚に覆われる、といった話だ。
計画では、永積くんが電話をかけたりしている部屋にそれを置こうと思っていたのだが、大きな作品であったため部屋にはいらず断念。スタジオ食堂のロケーションのみが生かされる事になったのである。なので、永積くんが白い部屋にいるシークエンスには、巨大な氷山の全体像のような形をしたダンボールの固まりが存在していると想像で補ってみてほしい。(思い通りになっていないな〜) プライベートな深層の領域から何かを鞄に入れて外に出る、というシーンだったことが、うっすらと想像できるかもしれない…、などと言ってみたところで、今更どうにかなるものではない。
(後編に続く)
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text by Y
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