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ムーンライダーズ × 相対性理論 ライブ@新宿LOFT [音楽]

 先日、ライダーズのライブが新宿ロフトであった。ゲストは相対性理論。何かと話題のバンドである。
昨年6月ごろEMIの加茂さんからCDをもらったのをきっかけに聴き、ぼくも気に入っていた。デビュー以来噂が噂を呼び、CDのセールスは5万枚近いという。

 彼らの音楽の印象を言いあらわすのに、何か上手い言葉はないかと探してみたところ、“プレゼンタブル”という語が思い当たった。これはコルトレーンが『ジャイアント・ステップス』のころに使っていた言葉だそうで、ライナー・ノーツでナット・ヘントフ氏が紹介している。

 インパルスの半ば以降は「生命の統合の力に一旦気付いて以後、自分の音楽行為のすべてはそれに捧げられている。」というような世界に入るコルトレーン氏であるが、59年辺りは、「自分のやっている事が、時にアカデミックな練習に聴こえてしまうのではないか心配している。」と発言していたとのこと、ミュージシャン連には「コルトレーン・チェンジ」などと注目されたが、一方でスケール練習のような曲だと言われかねないと、本人も感じていたのかもしれない。その不安をよそに、そこで提示された音楽形式に「シーツ・オブ・サウンド」という形容が定着し、『ジャイアント・ステップス』は今や名盤中の名盤。とても“プレゼンタブル”なアルバムになった。

 で、相対性理論の話しに戻ると、既に5万枚とのことであるから、後だしジャンケンのようであるが、音(音データと言った方がしっくりくる)とバンド名、曲とアルバムのタイトル、という最小限の情報だけで噂が噂を呼び…ということで、これは正に作ったものが独立して“プレゼンタブル”であった結果である。

 歌詞に関して言えば、ここ10年ほど、「自分らしさ」「キミらしさ」「ブレないオレ」「自分の思い」などなど、自己陶酔系ドグマに縛られたような歌詞ばかり聴かされ、うんざりしていたところだったので、非常に新鮮だった。

 もちろん遡れば過去に比較対象は沢山ある。80年代インディー・ブームの頃なら、ナゴム・レコードから出ていたような系統のものだと言ってしまえばそうだし、ビックリハウス的と言えばそうでもある。イメージの羅列でリスナーの想像力を利用するやり方は、「はっぴぃえんど」以来の非歌謡曲の伝統でもある。ただ相対性理論は、過去のものより格段に音楽的に“プレゼンタブル”だと思った。過去のこの手のものは、そもそも、メジャー7th系だったり6+9だったりのコードには触らないことが決まりだった、というより触らないドグマが存在していたが、彼らは違う。

 リズムやアンサンブルに関しては、今回のライブを見ると、まるで初来日のころの「ポリス」のようだった。ベース、ドラムス、ギターのアンサンブルは、今後アレンジ面での複雑化を模索するようになるのでは?と感じたし、その方向で十分音楽的に面白いものを作り続けそうな予感がした。終演後挨拶したが、メンバーは20代半ば。追求していってほしいものです。

 ライダーズは余裕の演奏ながら、前回より若干テンションが高い。慶一さんの米兵コスチュームがテンションをもたらしたのか?

 終演後、加茂氏としばし話し込み、終電間際に帰路についた。

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シフォン主義

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  • アーティスト:相対性理論
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ジャイアント・ステップス(+8)

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  • アーティスト: ジョン・コルトレーン,シダー・ウォルトン,トミー・フラナガン,ウィントン・ケリー,ポール・チェンバース,レックス・ハンフリーズ,アート・テイラー,ジミー・コブ
  • 出版社/メーカー: Warner Music Japan =music=
  • 発売日: 2008/02/20
  • メディア: CD

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相対性理論 相対性理論

John Coltrane - Giant Steps 『Giant Steps』Jhon Coltrane

text by: Y 


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